1月12日、記者会見にて、オランダのマルク・ルッテ(Mark Rutte)首相(53歳)とデ・ヨング大臣がロックダウンの延長と、ワクチン接種予定などについて発表した。イギリス、フランスをはじめとした欧州諸国がロックダウンとなった後に同じくロックダウンを行っていたオランダでは、1月18日までの予定を2月9日まで延長することとなる。

 

 また、企業に対するこれまでの支援金に追加した救済措置を行うことや、3月まで不要不急での外国への旅行を自粛するよう要請し、OMT(Outbreak Management Team)の夜間外出禁止の効果を調査しているとのことなどを発表した。

 

 明るいニュースとしては、英国のコロナ変異体が脅威となっているものの、小学校の開始が早まり、1月25日から再開されること、そして、ワクチンの接種計画が、今年の秋までに国民全員が接種を終了する予定に早められることも、発表された。

 

 イスラエルでは、12月19日よりファイザーなどが開発した新型コロナウィルスのワクチン摂取が開始され、1月13日、人口の約2割にあたる185万人に1回目の摂取を行い、60歳以上の約7割に摂取済みであり、世界的に最も速いペースであることが報道された。3月までに16歳以上の国民への摂取を終えることを目標にしているという。ただ、このウィルスの封じ込めには、米国の3億5000万人に加えて、ヨーロッパの7億4000万人、他の大陸の人々が予防接種を2回完了することが必要となる。どれだけの日数がかかるのかを考えると非常に長期戦が予想される。特許譲渡の問題や金銭的な問題などもあるが、政府の力量が問われる事由であり、早期の製薬会社との連携などが重要となる。

 

 尚、ルッテ首相は、毎日自転車通勤をすることで有名で、非常に気さくな国民人気の高い首相であるが、実は2020年5月、実母がハーグ(Hague)の老人ホームで死去した。しかし、新型コロナウイルス予防規則で「老人ホーム訪問を禁止すること」を順守したため、母の最期をみとることができなかったことも報道された。死因は新型コロナウイルスではなかったが、入居していたホームでは新型ウイルスの流行が起きていたという。母の死に目に会えなかった首相の規則を順守した姿勢が話題となった。

 

 尚、ルッテ氏は、2010年以来、連立政権を率い、西欧では来年退任予定のドイツのメルケル首相に次いで長期間、政権の座にある。2021年3月17日の下院選で党首を務める中道右派、自由民主党を勝利させ、続投を目指す考えを示している。同党は首相の新型コロナウイルス対策などが評価され、支持率で2位の極右である自由党を大きく引き離しているという。コロナの対策が政権の行方を左右する構造は、日本のみならず海外も同様といえるであろう。

 

 

写真

マーク・ルッテ首相の自転車通勤風景

 

 

写真

自転車専用道路は赤い道

 

 

 そして、多くの犠牲を払いながらも、クリスマスや年末年始を経て経済の後退も懸念される中で続けてきた対策であるが、現ワクチン摂取を拡大することが問題を解決することとならない可能性も浮上している。再ロックダウンとなる前、新型コロナウィルス変異種が次々出て、その危険性から流行を憂慮されているのは主にイギリスの変異種VOC 202012/01型と南アフリカ共和国の変異種501Y.V2型である。その様な中、従業員の感染を防ぎながらテレワークを行う企業の動きが加速し、長期化する状況を背景に、より多くの企業が都心を離れ地方へと拠点を移すなどの取り組みが各国、そして日本でも広がっている。

 

 在宅業務などでIT関連のハードウェア部品を扱う、例えば例として、半導体製造装置部品、真空チャンバーなどの製造部品メーカーが更に好調な状況となっている。しかし、特需のパイを海外メーカーなどから勝ち取り、熾烈な競争を勝ち抜くため、今までにないアルミニウム加工方法を取る企業も出ているという。

(Vol.2に続く)

 

 

A L U C O

 流通業界に身を置くこと20年、中東、ヨーロッパの大学院に留学した経験から、エネルギー産業への関心が高い。趣味はスキューバダイビング、自然観察、ワイン(ソムリエ)。