第5世代通信(5G)関連で高純度アルミは需要が拡大している。スマートフォンや液晶テレビなどのディスプレイ、太陽電池やリチウム電池などのエネルギー、DVDやハードディスクなどの記録メディアなどには特徴的な機能を持った薄膜が使われている。成膜材料がスパッタリングターゲットであるが、使用するターゲットに応じて薄膜の特性が変わり、合金や複合酸化物などの膜組成が、ターゲットとほぼ同じ組成に維持され、ニーズに応じたターゲットの選定が重要になる。スパッタ(スパッタリング)は、大面積を均一に成膜できる方法として、工場の大量生産においても、薄膜作製の主流となっているが、不純物は材料の導電性を阻害する。クロム、マンガン、マグネシウム、シリコン、鉄、スズの粒子は、とくに禁物という。
そのような中で、高純度アルミニウムは、スパッタリングターゲット中半導体機器関連で活況という。また、EV・HV・PHVの電動システムに搭載されるモーター駆動用フィルムコンデンサでは、主として厚さ数μmのポリプロピレンフィルムが誘電体として用いられ、表面に金属膜をパターン形成した蒸着金属化フィルムが使用されており、優れた電気的特性、高い安全性、高信頼性を有することが特長である。
なお、EV自動車で先端をひた走る米国電気自動車メーカーテスラであるが、CEOイーロン・マスク氏が2021年1月8日時点で個人資産は1,897億ドル(約19兆7,000億円)とアマゾンのベゾス氏を40億ドル上回ったことが報道されたことが記憶に新しい。そのような中、電気自動車やバイクの新モデルが相次いでいるが、新しいベンチャー企業も活況である。
中国のEVスタートアップ企業のNIO(蔚来汽車)は、「NIO Day 2020」で、電気自動車の新型セダン「ET7」を発表した。過去の資金不足などの問題を乗り越えてTencent(騰訊)から現金を調達するなどもあったが、同社の1月9日発表後、11日には一時株価が急上昇し、過去最高となった。
「NIO Day 2020」のユーザーを招待するこの祭典の開催都市は、約4万人のユーザー投票で決定され、成都で開かれた。また、260人以上のユーザーがイベントの計画立案にも参加したことからも、消費者の関心の高さが伺える。CEOのWilliam Li氏率いるNIO(上海蔚来汽車)は、中国版テスラとも称されることもある、2014年創立のEVスタートアップ企業である。
新たな電気自動車である“ET7”は、NIO社としては4車種目の市販のモデルとなり、かつ、初めてのセダンモデルという。電池容量は、70kWhモデルと100kWhモデルがラインアップされている。価格は、70kWhモデルが44万8,000元(日本円で約720万円)100kWhモデルが50万6,000元(約813万円)である。
世界的な動きも受け、中国政府の補助のもと、EVを浸透させる取り組みがここにも盛り込まれているが、NIOではバッテリーを、車両本体とは別に定額制で利用プラン「BaaS(Battery as a Service)を用意している。その場合の価格は、70kWhモデルが車両本体37万8000元(約608万円)に加えて電池代月額980元(約1万6000円)、100kWhモデルも車両本体は同額の37万8000元(約608万円)で、電池月額が1480元(約2万4000円)となるという。
また、“AQUILA“という名前の800万画素のカメラ、「LiDAR」を採用した高度なセンシングシステム、“ADAM”と呼ぶコンピューティングプラットフォーム、最新の自動運転と安全性能を備えていることも特徴である。自動車メーカー各社が、現在凌ぎを削って研究開発を行っている自動運転システムについては、月額680元(約1万1000円)のサブスクリプションにより提供し、オプション設定となるという。
2022年には150kWhの全固体電池搭載モデルを発売することが発表されたのである。使用される電池には高純度のアルミ箔が用いられており、高い技術力が欠かせないが、ここに台湾企業のバッテリーが使用されているという。
出典:https://www.nichicon.co.jp/lib/lib73.html
“高純度アルミWorld#13高純度アルミ、EVと新バッテリーLCB技術!” へ続く
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流通業界に身を置くこと20年、中東、ヨーロッパの大学院に留学した経験から、エネルギー産業への関心が高い。趣味はスキューバダイビング、自然観察、ワイン(ソムリエ)。