さる17日、中国鉄鋼工業協会によれば、“再生鉄鋼原料”の国家標準規格が正式に発表され、2021年1月1日から正式に実施されることとなった。この措置は国際と国内の再生鉄鋼原料資源を最大限に発掘し、鉄資源の循環利用率を高め、鉄鋼企業の有効な選択肢を増加させ、鉄鉱石の使用と価格の上昇を抑制することが狙いという。トルコ業界筋では、この措置により、2021年の中国鉄スクラップ輸入は総計1,500万トンから2,000万トンに達するものと予測している。

 

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 これを受けて、23日には同国財政部から、同時に適用される関税率についても正式に発表があり、最恵国関税率を復活しこれまでの2%の税率を基本的に撤廃することが示された。

 

 詳細については、いずれも合意が前提で以下のようになっている。

 

 0%に改定が以下3品種

  72042100(ステンレススクラップ)

  72042900(その他金属合金スチールスクラップ)

  72045000(再溶解用スクラップインゴット)

 

 2%は以下3品目

  72041000(鋳造スチールスクラップ)

  72043000(錫被覆スチールスクラップ)

  72044100(機械加工から出たスクラップ)

 

 日本にとって重要なのは次の規定で、

 以下の国・地域で生産した鉄スクラップは品目問わず0%

  太平洋アジア地域、チリ、パキスタン、ニュージーランド、ペルー

  コスタリカ、スイス、アイスランド、オーストラリア、韓国、ジョージア

  モーリシャス

  ただし韓国産の72044100(機械加工で出たスクラップ)は0.6%

 

 となっており、太平洋アジア地域に含まれる日本からの鉄スクラップ輸出は、品目問わず関税率は“ゼロ”となることが判明した。

 

 これまでの中国鉄スクラップ輸入禁止措置により、「その他鉄スクラップ」、「ヘビー屑」は2019年1月以降同国向け輸出は実質ストップ、一部がマレーシア、ベトナムなど周辺国経由へとスイッチしていったものと思われるが、今回の禁輸解除措置により、物流面での再編成がどうなるかも注目される。次回財務省の貿易統計は11月分であり、12月以降の輸出変化は、来年1月末の発表によって確認することとなる。

 

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 すでに鉄スクラップの国際相場は事前情報を受けて11月末から高騰を始めており、HMS 1&2(75:25 mix) cfrトルコ港湾渡しで、トン当たり360ドルから足元464ドルまで上昇している。

 

 

鉄スクラップ(HMS 1&2(75:25mix) import,cfr、delivered Turkish port、($/ton) 3カ月)

グラフ

 

 

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(IRUNIVERSE S. Aoyama)