21/6期5G向け中心にCCLプレス好調で12.5%増収4%営利増、22/6期も収益拡大へ。

 

 

要 約

 ・21/6Q1は11.3%減収42.3%営利減も受注済み案件売上がQ2以降計上で見通し変化なし

 ・21/6期予想変更なく、5G向け中心にCCLプレス好調持続し12.5%増収4%営利増予想

 ・22/6期5G向け拡大で収益上伸見通し、受注は自動車向けCFRTPシート積層プレ

 

 

グラフ21/6Q1は11.3%減収42.3%営利減も受注済み案件売上がQ2以降計上で見通し変化なし

 プリント基板プレス、FA機械の中堅で、19年8月に子会社株式譲渡で建材部門を売却、トップシェアのプリント基板プレス事業を中心に選択と集中を実施し事業展開している。21/6Q1は売上高9.00億円(11.3%減)、売上総利益2.16億円(28.7%減)、営業利益0.82億円(42.3%減)、経常利益0.80億円(38.8%減)、税引利益0.71億円(0.74億円改善、黒字転換)となった。

 

 主力の産業機械事業は売上高8.55億円(9.6%減)、営利0.74億円(40.7%減)に。CCL(銅張積層板)成形用真空大型プレスなど受注済みの案件がQ2以降の納入予定で、Q1としては収益低迷に。その他事業は売上高0.45億円(34.1%減)、営利0.07億円(14.1%減)と、油圧機器販売の不振、内部売上増で大幅減収減益に。

 

 

グラフ

 

 

図21/6期予想変更なく、5G向け中心にCCLプレス好調持続し12.5%増収4%営利増予想

 Q1以降に売上が計上されるシナリオに変化がないとして、21/6期会社予想は変更なく、売上高48億円(12.5%増)、営利5億円(4.0%増)、経常利益4.8億円(0.1%減)、税引利益3.8億円(16.5%増)とした。同社は必ずしも事業の開示に積極的でなく、Q1での受注、受注残高は開示せず、Q2発表時にまとめて開示するとしているが、通期受注は売上程度の48億円(15.6%贈)の確保を見込む。ちなみに仕掛品は20/6期末14.90億円に対し21/6Q1末で17.66億円に増加、前年同期比では11億円増、2.7倍となっている。

 

 現状、中国、台湾中心に5G向けのCCL製造投資が引き続き好調で、台湾勢が台湾国内、中国両方で大型案件の引き合いを出している模様。ちなみに台湾でのPCB生産額は3000億台湾元(約1兆1100億円)が見込まれ、2007年以来の3000億元超えとなる模様。日系企業もイビデンや新光電気工業など半導体パッケージ基板の増加を中心に国内生産が急増、工業会予測6455億円(1.6%増)に対し、7600億円(20%増)が見込まれ、海外生産を合わせ全体で1兆4500億円程度(5.8%増)の生産が見込まれる。最大生産市場の中国でもPCB生産の拡大が続いており、台湾勢の高密度配線(HDI)設備がノートPC,タブレット、スマートフォン、車載、サーバー用などフル生産状況で、COMPEQが重慶、Tripodが湖北省で設備増強を実行、PLOTECH、Huatong、Trident-KYなども生産能力拡大を行う。

 

 全体として豊富な受注残から今期売上見込みが立っており、売上計上が出荷基準で据え付けが遅れて売上計上が出来ないリスクは少ない。しかも輸出は中国、台湾が中心で、コロナで再度大きな混乱が無い前提で21/6期会社計画並みの収益が期待される。

 

 

グラフ

 

 

グラフ22/6期5G向け拡大で収益上伸見通し、受注は自動車向けCFRTPシート積層プレス期待

 22/6期は5G端末の本格普及期にあたり、5G向けCCLプレスの売上は拡大が続き、台湾勢、中国勢の活発な増産計画、国内も先端基板向けの設備増強などで高水準の受注が継続しよう。またスマホ以外では、自動車の安全対策、無人運転などの推進で、車載ADAS需要拡大から耐熱基板、高周波対応基板向けなどの需要が高まろう。昨年10月に発表された富士キメラ調査では2025年にエレクトロニクス実装関連市場が10兆円を超える予想を出しており、高機能基板は2019年の1748億円が2025年には2622億円に拡大するとしているが、現状はコロナにより、成長が加速し、想定を上回って推移している。また同社は新たな分野として、自動車の軽量化対策としてCFRP(炭素繊維強化樹脂)の採用が始まりつつある市場に向け、短時間で成形が可能なCFRTP(炭素繊維強化熱可塑性樹脂)シートのスタンピング装置を開発、自動車フードやルーフ向けに量産対応の受注も視野に入ってこよう。

 

 全体として22/6期は増収効果に加え、MIX良化で利益の伸び率も高まり、新分野での受注拡大も期待され、収益拡大が見込め、23/6期には建材部門を含めた08/6期の経常最高益7.67億円を超えてこよう。

 

 

表とグラフ

 

 

(H.Mirai)